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『香りが生きている』『再現不可能なものは魅力的』

第1揺青が終了し、隊長は茶葉の状態を確認しながら詳細を記録している。

隊長が時々言う『香りが生きている』。
他では聞いたことがない、そういう表現は愛子から初めて聞いた。
愛子にはどういう風に感じているのだろう?

『再現性のないもの・再現不可能なものは魅力的』、これも時々言っている。
だからずっと茶葉の側にいるのかな?
確かに香りは嗅ぐたびに変わっている。

こんな素敵な香りに包まれながら寝たいな~
いつまでもこの香りの中にいたいな~
でも今だけだからいっぱい嗅いでおこ~
はあ~、いい香り、うっとりしちゃう♡

『あれ』に似ている?

第1揺青終了。

なになに?
あの13年の『あれ』に似ているの?えーすごい!
どこどこ?なにが似ているの?

よくわからないな、、、
とにかく揺青籠の中に頭を突っ込む、、

うわ~、フレッシュな青リンゴジュースみたいでいい香り♪
今しかない香りだからいっぱい嗅いでおこーーー
ここからどう変化していくのかしら~!

 

お手入れ

晒青中も、隊長は小紅に剪定の重要性について説明している。

というのも、愛子が言うには『(晒青中の)この樹は本来もっと好いはずなのにもったいない』『もっと品質の高い好い原料にしたい』のだそうだ。

小紅が理解しやすいように、今度はお肌に例えて原料と剪定の関係性を説明している。

愛子はいつも相手によって説明の方法を変えているのだが、同じ人に同じことを伝えるにも毎回例え方を変えている。

『それぞれの教育レベルが違いすぎる、立場によって知識や経験はもちろん習慣や興味も全く違って、それらは私たちの想像を遙かに超える。背景が違うから、物事の理解の仕方が、日本や香港で基礎教育受けた人間とはまるで異なる。私たちの常識は通用しない、常識が無いのが常識。そういう場所で、生まれてから全く教育を受けたことがない・国も立場も違う・でもその環境で立派に生きている、そういう大人の相手に対して、どうやったら自分の伝えたいことが伝わるか、目的を理解してもらえるのか、、本当に毎日手探りだよ。。。一人一人バラバラ、それぞれの基準が全く分からない。。。だから思いつく限り、特に目の前に現象があるときはチャンスだからすぐに、考えられることは全て試してみないと。。。そうすれば100やれば1は残るかもしれない。』、だそうだ。

それで今は、最近お肌の皺をとても気にしている小紅に、お肌のお手入れ(昨夜愛子が化粧品を渡しながら説明していて小紅は熱心に聞いていた)に例えて説明しているわけね~。

『茶樹も人間も同じ、保養(=お手入れ)が合っていないと、もとは状態の好いきれいな人でもそうじゃなくなる』『もっと適切なお手入れをすれば、もっと輝く』『大丈夫、まだ間に合う』と。

なるほど~、わかりやすい。

熱血指導中

隊長は今日も、小紅に剪定のやり方を教育的指導。

作業の合間合間に、小紅を呼んで説明している。

家の前のうぇいうぇいの茶樹(うぇいうぇい管理)を参考にし、さらに生態茶の茶樹(おとん管理)のほうにも移動して、いくつかの茶樹を比べて、剪定の違いで原料の葉がどれだけ違うか、茶樹の状態の違いでどう剪定を変えるべきか、剪定のパターン等々、説明している。

愛子は10年近くも前から、滞在中に毎日毎日、毎回毎回、おとんに理解してもらえるように工夫しながら繰り返し説明してきて、おとんは毎回『わかった、理解した、できる、やる』と言いながら、結果的にあまり改善されないことから、助手の小紅にも教育的指導して、一緒におとんに説いていく作戦にした様子。

ここにも『ダイヤモンド』?

天樹山の古茶樹のところへ。

なになに?
『かなり好くなっている!』と隊長は嬉しそう。
『伝えた通りに剪定が改善されている』って。おとん、やったー!

でも、全部ではないらしい、、、がく~。

愛子『なんでここまでは出来ているのに、ここから向こう側は出来ていないんだ?途中で止めたのか?半端だなあ、あと少しなのに。。。あとでおとんに聞いてみよう、きっと何かあったはず、、』

ええーー!ここにも『ダイヤモンド』がいっぱいなの?
『このあたり(改善された場所)にたくさん出ている』って?
どれどれ?

、、、んーーーわからん。

隊長の目にはどんなふうに映っているのかしら???

初代樹が、、、

翠岩山に到着。

初代樹が、、、かわいそうなことになっている。
枯れていく。

愛子はずっと前からおとんに言っているのに、この光景、、、。
枯れた枝や幹が目立つ。

愛子は『こんな水分も何も残っていない枯れ木を畑に残しておいてどうするの』『ここまで来たらこの方法では手遅れだ』と何度も言っているが、おとんも小紅も『まだ生きている』と言って信じていないようなので、あえて足で枝を折ってみせている。

本当だ、、、パキパキ簡単に折れていく、中までカラカラに干からびている、、、。

おとん、早く助けてあげてーー。

生態茶が、、、

鉄蘭山に来た。

何かをやるのに一筋縄ではいかぬのがここの常識。

生態茶が、ないの、、。

生態茶の上(『天』と呼んでいる場所)のほうはちょうど抜け道が雑草で塞がれているため(誰かに発見されないようにするためにわざと草ボーボーにしている)下から見えなくて取られる運命から逃れたみたいだけれど。。。

生態茶の下(『地』と呼んでいる場所)が、、、ない、摘まれてしまっている。

ショック、、、

隊長は、状態を細かくチェックしてノートに記録した後、何か考え込んでいる。

どうするんだろう、、