当サイトについて

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おいしいお茶が飲みたくて、

おいしい正体が知りたくて、

おいしいお茶を探究し、

もっとおいしいお茶の実現に挑戦しています。

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1996年
リュックひとつで上海港に初上陸し、
言葉も分からない知り合いもいない中国大陸を
書道家の卵として西安拠点に歩き回っていたはずが。。。

時が流れ、
『茶師』と呼ばれて気がつけば
創る作品はいつしか茶葉ばかりになっていた。。。

このサイトは、
そんな「愛子(隊長)」の
自分探しの冒険を記録し続けているノートの
ほんの一頁です。

 

*2000年
「@お兄ちゃん(管理人)」がそのことを知り
『すっげー!誰かに伝えたーい!』とホームページ作成。

*2003年
「ふいみん(副隊長)」がそれを発見し
『すっごーい!楽しそー♪』と冒険の仲間入り。

 

 

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◆あらまし:外国人中国茶師♡挑戦と探究の長期ドキュメント

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このサイトは、2011年に外国人初の中国国家級高級評茶師(=中国国家一級高級技師資格) となった日本人の愛子(後記◆4:ガッツの高級評茶師)が、その10数年前からもっとおいしいお茶を飲むために記録を続けている、個人ノートの一部分です。自分が求めるおいしいお茶を探して、20年以上中国大陸に通っている元バックパッカー外国人中国茶師の、長期に渡る挑戦と探究のドキュメントです。

サイトは2000年にスタートし、中国各地で体験中の製茶の様子や、お世話になっている茶農家の方々との交流の様子等、現場のリアルを、現地から同時進行で発信してきました。初期は、商用ではない伝統茶の製茶技芸を、各種継承していく軌跡が中心となりました。そこから始まり、既存の枠にとらわれない発想と独自の感性を生かした、前例のない製茶の研究を繰り広げていきました。それらの記録の一部を、それぞれの現場である農村農家等から、リアルタイムで、文章・画像・動画等で発信し続けてきました。

スタートから10年以上は、ネット環境がほぼ無い時代が続きました。どの現場も、未知の異文化・異言語・異環境の、異国の中でも外地人さえ入らない異世界の辺境の地でした。その中で、突如現れた正体不明の外国人を受け入れてくださった、各地の伝統茶農家さん方に学びながら、彼らの協力の下、様々な挑戦を続けました(後記◆2:幻の龍井・愛の茉莉花茶・根性の碧螺春)。季節になると居候し、共に労働させて頂き、知りたくてもどこにも無かった作り手側からのリアルな製茶記録を、いつしか愛子自らがそれぞれの伝統茶の作り手となり、炒茶人・製茶人の立場で記録し続けました。日々目の当たりにする世界的にも例がないであろう、彼らと彼らのお茶の凄さや素晴らしさ・他では体感したことがない驚愕の香りや想像域を超えるおいしさ等、深く心を動かされる実体験の数々。。。知るほどに、この感覚を誰かと共有したい、という思いが湧き上がりました。その実現を目指し、記録の一部を僻地の製茶現場から直接発信することに始まり、前例のない大小数多の難題を一つ一つクリアしながら、懸命に暗中模索し続けました。

2003年からは、2014年に香港人初の同じく中国国家級高級評茶師(=中国国家一級高級技師資格)となったふいみんが、現地参戦するようになりました。

現在は主に、安渓鉄観音の伝統茶を制作しています(後記◆3:魂の鉄観音 with エピソード【気になる樹】&【9つの老茶樹】)。新茶は、福建省で年2季、愛子が単独で製茶しています(※)。愛子は、製茶との一世一度の縁を最も重んじ、その瞬間の感覚を逃さないよう収穫期に心身のピークを合わせ、シーズン中は閉関にて専心し、製茶中は茶葉の声を聞くことに一人集中しています。製茶と併行し、製茶中の五感と香気の動きの聯動性を中心に、製茶師・評茶師・愛子個人の三視点で、製茶の全過程の記録をしています(後記◆3>★4つの探究アイテム>「その時ノート」)。ふいみんは、製茶中の愛子と現場の動きを中心に、製茶人とは異なる視点で記録をしています。記録と併行し、情熱ぶろぐの作成をしています。制作する全ての茶葉を、茶樹から新茶に仕上がるまでの、製茶中の各過程から観察・記録・審評・考察等を開始し、新茶から最高クラスの老茶に成熟するまでの、製茶後約10年は審査・分析等を継続し(後記◆3>★4つの探究アイテム>「その後ノート」)、茶葉それぞれの製茶の過程と結果を追跡し続けています。協力しあい、年月をかけて謎を解きながら、それぞれが飲みたいもっとおいしいお茶の実現に挑んでいます。

その記録の一部を、標高約900メートルの現場から発信しています。その結果である茶葉は、審査後に一部を《心の隊員》(後記◆5:《心の隊員》)にお分けしています。またそれらの茶葉を、中国と日本で、《心の隊員》と共に審評法で品茶・解説・交流等する、品茶会・研究会等を行っています。試行錯誤を重ね、茶葉制作・製茶研究の活動継続を第一の目標に、精進し続けています。

もしも未来で、この感覚と経験と心に刻み込まれた記録たちを、お世話になった方々の誰かから必要とされる日が来たならば、今私たちが彼らのご先祖様が残された大切なものと結ばれているように、もしかしたら彼らのご子孫に繋がるかもしれません。そのような素敵なイメージも心の遙か片隅に、目の前のひとつひとつに精一杯取り組んでいます。

サイトを通じ、いつの日かこのおいしさが大好きな仲間と巡り合える歓びを励みに、わずかでもこの大好きな世界を誰かと分かち合える歓びを支えに、また、将来中国と日本の《心の隊員》が共にお茶を囲んで笑い合える歓びを希望に、もっともっとおいしいお茶の実現という大きな目標に向かって、挑戦し続けております。

(※:20春~渡中・製茶は一時休止、手入れ・剪定・管理等はリモートで継続)
(※:23秋製茶再開「カテゴリー>23秋天♪鉄観音」)

 

 

この先には、「愛子のやりたいこと・やってきたこと・やっていること」が大まかに書かれてあります。「サイト開始頃から約20年のあらすじ+α」です。これまで言葉にしなかった内容が多いです。現在も活動継続中の為、時々更新等いたします。《心の隊員》参加をご検討いただける方は、少し長くなりますが、まずは最後までご一読をお願いいたします。
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【目次】
1:心の製茶ノート(2000年~)
——– ♡知りたい
——– ♡やる
——– ♡探す
——– ♡続ける
——– ♡信じる
2:幻の龍井・愛の茉莉花茶・根性の碧螺春(2000年~・2001年~・2002年~)
——– ★火の中にも10年
——– ★消えても生きている
3:魂の鉄観音(2002年~)
——– ★3つの壮大な謎
——– ★4つの探究アイテム
——– ★20年来の夢と目標
———— ※2: エピソード【気になる樹】
——————– ①何かの気配
——————– ②何かのご縁
———— ※4 :エピソード【9つの老茶樹】
——————– ①薬用の茶樹
——————– ②調査と気付き
——————– ③もうひとつの気付き
——————– ④迫りくる時代
——————– ⑤消えた老茶樹
——————– ⑥立場の違い
——————– ⑦ピンチを救うもの
——————– ⑧不可能との闘い
——————– ⑨おとんの変化
——————– ⑩家族の愛
——————– ⑪スタート地点
4:ガッツの高級評茶師(2004年~&2006年~)
——– ★未知の国家試験
——– ★奇妙な遭遇
——– ★愛と感謝の相乗効果
5:《心の隊員》(2007年~)
——– ★3人の茶師チェック
——– ★同じ釜の茶葉を分け合う仲間
——– ★心の製茶メンバー
——– ★誰かと共有できる歓び
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◆1:心の製茶ノート(2000年~)
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知りたい
「だって、私の知りたいことは、
誰も知らないしどこにも書いてないし誰もやってないし、
誰も分からないのに誰も知ろうともやろうともしないから、
自分でやるしかなかったっ♪ 」(例:※1:この頁の最後部、ご参照下さい)

 

やる
「私、もっとおいしいお茶が飲みたいっ!でも無い。だから作るっ♪

特別な気配を感じる各地点の茶樹から生まれるすっごいっ☆茶葉たちを、
それぞれ仕上がりの瞬間から10年20年30年50年先の老茶に成熟するまで
365日適切な保存法と環境で育てて観察しながら、、、

製茶中のどのような状態とどのような感覚が
どのような変化を経てどのような仕上がりになって、
その製茶直後のどのような品質とどのようなおいしさが
その先いつどこでどうしてどのように変わっていって、
もっと先々それらのどこからどのようなおいしさが
どのくらいどのように出現してくるのか、
そのおいしさのためには製茶時の何がどうで
どこがどのようであればより好いのか、
そのために人ができることは何があって
いつ何をどの段階でどの程度
どのような方法でどのくらいの期間どうしておくべきか、
等等知るために、、、

複数地点の同じ茶樹たちを継続して
地点ごとにそれぞれに適した剪定法で育てた上で
更に同地点内を様々な特徴で分けて毎シーズン別々に製茶して、
心に果てしなく浮かぶ疑問と仮説の数々を
より厳格な国家審評法と常に進化させる独自の製茶法で
実験と検証を積み重ねて確認し続けて、
第六感が感知し五感が体験する
ひとつの現象に対するそれぞれの観察情報を同時並行で
その瞬間の言葉と数値と画像等で現場で記録し続けて、
学び培い会得した知識・経験・知見・技術を
相互に応用しながら組み合わせ実践に活かしては
全ての過程で考察をもっと掘り下げて
新しい別の観点や論理を見出し続けて、
等等やり続けて、、、

茶葉と向き合っている限り
茶葉と知覚の聯動性を体感で体得することに絶えず集中し、
分かるまで止めない。

そうやって、
天と地と人の繋がりを
『その結晶である茶葉』と
『そこに至る記録』と
『そこから始まる記録』と
『それら全ての過程で得た知覚たち』を総動員して探究しながら、
もっともっと
ドキドキ♡ワクワクしちゃう未知なるおいしいお茶への挑戦を続けたいっ!」

 

探す
「そうか。私ね、
自分の命がおいしいと感じるものの正体が一体なんなのか知りたいんだ。
そのひとつの手段として、自分がおいしいと感じるお茶を探究しているんだ。
茶葉は実物だから、感覚は見えないから。

見えないものたちの方があんなに圧倒的に存在しているのに
その欠片すら形に現すことはできない。
人間の言葉に変換しようとするほど
あれら全てが実体から乖離していく。
あの中で生まれた茶葉たちは
あれらを別の形で記憶して
更なるものたちで再現してくれるんだ。

天地の中で溢れてくる数多の感覚たちと共に没頭する無上の時空間、
茶葉たちの声を聞きながら深く進んでいく美しい静寂の世界、
結界に守られて独り入っていく無垢で円満な小宇宙、
その果てに誕生する一包みの初めましての茶葉、
その一杯に湯を差した瞬間から現れてくる新たなる見えないものたち。
それらがいつも
更なる宇宙の存在とその扉を開く鍵の場所を教えてくれるんだっ♪」

 

続ける
「あのね、もしかしたら、
本当にスタート地点に来られたのかもしれない。
20年信じて歩き続けていたら、突然強風に運ばれて、
気付いたら、
やりたいことの実現がいよいよ始まっている感がするのっ☆」

 

信じる
「そうだよ。表現なんだ。
きっと私、もっと表現したいんだ。
見えないものを、見えないもので。
茶葉は、それを可能にしてくれる唯一の作品なんだ。

茶樹が生きているあの場所と
鮮葉が変身していくあの場所に
いつもいる
時に秘やかに
時に激しく姿を変えて
常に動いている
誰とも共有することができない
あのたくさんの見えない存在たちを、
同じように見えないけれど
茶葉がお茶になった瞬間から
次々と現れてくる
飲めば誰かと一緒に感じることが可能な
あのたくさんの見えない存在たちで。

近づけたいんだ。
もっと、もっと近づけたいんだ。
だって、どれだけの茶葉が仕上がっても
自分の体験が知っている世界の
ほんの僅かな一部分しか現われてこない。
それでも、毎シーズン増えていく。
少しずつ、少しずつ近づいていく。
すると、もっとおいしいお茶が生まれているんだもの。

実現したいんだ。
いつか感じたいんだ。
見えないふたつの世界が、茶葉を支点に、天秤で釣り合うのを。
私、それに挑戦しているんだ。。。

どああー!!一体どんなおいしいお茶になっちゃうのだーー♡♡」

 

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2:幻の龍井・愛の茉莉花茶・根性の碧螺春(2000年~・2001年~・2002年~)
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火の中にも10年
数百年前から継承されてきた伝統的な手作りの獅峰龍井・福州茉莉花茶・洞庭碧螺春・安溪鉄観音等々を、2000年から毎年継続して、各作り手さん方の家に住み込み共に働かせていただきながら、製茶してきました。年に数ヶ月滞在させていただき、茶樹の剪定等含め製茶の全過程を継承しながら、連日連夜実践を重ねました。

そうして、代々の作り手さん方も気付いていない、その心ときめく誰もが知るおいしさを遙かに超えるおいしさが、時折彗星のように出現する時、それがなぜ一体どこから来るのか、その正体と仕組みを10年以上探究していました。

 

消えても生きている
ところが、時代の急激な変化に、そのような伝統的な茶葉は次々と作られなくなりました。瞬く間に製茶現場から消え、見る見る何もかも様変わりし、あっという間に2度と作れない環境となり、2013年には残るは安溪鉄観音だけになりました。

しかし、偶然ながら、それぞれの偉大な歴史の最期の10年と不思議なご縁で結ばれて、熱く深く学ばせていただいたその歳月の全てが生かされて、現在へと繋がり、今尚発揮されています。

 

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3:魂の鉄観音(2002年~) with エピソード【気になる樹】&【9つの老茶樹】
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3つの壮大な謎
現在の主軸は、安溪鉄観音の中でももう市場に出ることがない、希少種による『伝統茶』の研究です。その中でも更に貴重な、100歳超え(推定樹齢200年超え)の複数地点の百年樹を含め、長寿の『老茶樹』のみ製茶しています。

とある奇妙なご縁の老茶樹(※2:エピソード【気になる樹】ご参照ください)だけに的を絞り、追究的な製茶を継続しています。①その銀河級のおいしさたちの謎と、②それらが『老茶(仕上がり後年月が経過した茶葉)』となり伝承の『薬用茶』に変身していく謎と、③その過程で更に誕生してくる宇宙級のおいしさたちの謎を、探究しています。

 

4つの探究アイテム
謎を解くために必要不可欠なアイテムが4つあり、それらを手にするため、①~⑫を独自のスタイルで実行しています。

1 .『新茶♡愛鉄』(『愛鉄』:中国の茶友たちによる『子製観音茶』の呼称)
剪定:指定した老茶樹たちを、年間通して他と区別して管理し、茶園の歴史が深い他の各銘茶の産地で学んだ伝統的な剪定法を応用した剪定法で、手入れしています。
採茶で生長した鮮葉を、毎年春秋の2シーズン、限られた地元の『高手(名人)』による伝統的な手仕事で、指定タイミングに指定茶樹の完全成熟葉の指定部分のみ選んで手摘みする高要求且つ高度な採茶法で、採茶しています。
製茶で収穫した原料を、代々継承されてきた伝統的な製茶法を基礎に、別カテゴリーの各地各種の伝統茶で学んだ様々な伝統法を応用した伝統法で、製茶しています。
精製で仕上がった『新茶』を、衛生・温度湿度等の環境を整えた密室で、『高手』単独の手仕事により、一粒一粒目視で確認しながら必要な茎部を選び残す特殊な挑梗法で、精製しています。
審査で完成した『新茶』を、約100天(約3ヶ月)間数度にわたり、国家標準以上の視点と厳しさが基準となる製茶師と評茶師の両面を同時にフル発揮する審評法で、審査しています。
品茶会・研究会で合格した『新茶』を、一部《心の隊員》にお分けし(◆5:《心の隊員》ご参照ください)、その全種類を《心の隊員》と共に審評法で品茶しながら製茶・評茶の解説や意見交換等する品茶会・研究会等を、開催しています。

2. 『老茶♡愛鉄』(『老茶』:製茶後年月が経過した茶葉)
保存で完成した『新茶』を、厳しい衛生基準等多くの条件が整い、365日管理できる専用の場所と環境下で、現代の知識・技術を活用して長年比較している様々な保存実験の結果を活かした保存法で、保存しています。
育成(熟成)で保存中の茶葉を、劣化要因から遮断した状態を仕上がり時から維持したまま熟成させている等、衛生保持された上で成立する様々な前提から過去に例の無い『老茶』に、育成し(熟成させ)ています。
継続審査で育成(熟成)中の茶葉を、それぞれ最短3000天(約9年)以上となる10年を目標に、定期的に審評等を実施し、内質等の状態に応じて必要な処置を施しベストな保存状態を維持する等、長期に渡る愛飲と研究を安全且つ正確に遂行するための品質管理等を兼ねた審査を、継続しています。
品茶会・研究会で合格した『老茶』を、一部《心の隊員》にお分けし、その全種類を《心の隊員》と共に審評法で品茶しながら製茶時からの変化・評価等の解説や意見交換等する品茶会・研究会等を、開催しています。

3. 「その時ノート(茶樹から新茶に仕上がるまでの記録)
記録①~⑩の、茶樹から『新茶』を経て『老茶』になっていく全ての過程で、全ての茶葉それぞれの原料・製法・保存・審評等の詳細を、感覚と数値と画像等を合わせて残すことを意識した方法で、記録しています。「その瞬間+その現場+その茶葉の作り手」でなければ知ることができない事実を確認し、それを知りたい未来の自分が確認できるように、蓄積しています。

4. 「その後ノート(新茶から最高クラスの老茶に成熟するまでの記録)
継続記録①~⑪のように、長期的な観察・実験・検証・分析等の明確なデータの記録が蓄積され、且つ、仕上がり前から審評が行われている茶葉たちを、仕上がり後に様々な組み合わせで各々約10年、定期的に審評します。それぞれの「その時ノート」&そこまでの「その後ノート」等と突き合わせ、多角的且つ多面的に、比較・紐付け・思考・推理等します。そのようにして、茶葉個々に異なる多種多様な製茶過程のそれぞれの要素が、多岐にわたる品質結果にどのような影響を及ぼすのか等、研究点の経過状態とその時点で新たに知り得た気付き・発見・推測・課題等の、記録を継続しています。「製茶後年月が経過+製茶中から継続審評+その茶葉の作り手」でなければ知ることができない事実を確認し続け、それを知りたい未来の自分が確認できるように、蓄積し続けています。

このようにして、知りたくてもどこにもなかった、作り手だけが手に入れることが可能なこの4つの必須アイテム(1.~ 4.)を、年月をかけてひとつひとつ作製し、揃え続けています。同じ味香りが二度と出現しない、天地人一度きりの巡り合わせの現物である茶葉と、やり直しも再現も数値化もできない、その軌跡の記録。自分が飲みたい茶葉&知りたいその詳細を、ゼロから集めて整え、常に振り返り&毎シーズンパワーアップさせながら、謎の答えとその先にあるもっとおいしいお茶を、探し続けています。

 

20年来の夢と目標
ここに来て、突如として、長年実現できなかった理想の製茶体制が現実となり始めている感があります。更に、それによって知らず識らず、長年目指してきたスタートがしかも夢のような原料で、もうすでに切られている感があります。

20年程前、伝承が不思議でたまりませんでした。おとんを始め土地の多くの方々から聞いた共通の話:『鉄観音茶は越老越好(年月が経過するほど好い)』『超1000天(日)で貴重な薬用茶になる、超2000天でその効果が激増する、超3000天などあったら黄金より価値がある』。。。黄金以上?それはなに?おいしいの?。。。何でですか?どうしてですか?何が生まれ、何が増えるのですか?年月と共に何が起きるのですか?どのような味、どのような香りですか?飲むとどうなるのですか?おいしいのですか?今よりもっとおいしくなるのですか??。。。明確で納得できる答えは誰からも返ってきません、信頼できる現物はどこにもありません、知りたければ作るしかありませんでした。

約20年、
「もしも
特徴の違う特別な茶樹たちを
少なくとも10年以上連続して
安定した且つ信頼できる高度な技術レベルで
別々に製茶した上で
科学的で適切な同条件で熟成させながら
定期的に高水準の審評等で
観察と分析を継続し
『超1000天で貴重な薬用茶になる、
超2000天でその効果が激増する、
超3000天などあったら黄金より価値がある』
と伝承されるもっと先まで
それらを一斉に揃えることができたなら、
その時に初めて知ることが可能となる
まだ誰も知らない&もう他の誰にも実現できない
多くの未到の世界を見ることを夢に。。。
そして、
その夢を超えた先に
きっとみつけることができると信じる
自分の命が求める一番おいしいお茶と出会うことを目指して。。。
まずは、
それを実現できる自分になることを目標に。。。」
ひとつひとつ
諦めずに挑み続けてきました。

ここ数年、もしかしたら本当に、宇宙級のおいしさの謎解きのステージに突入できたのかもしれないと、終に、描き続けた夢の実現へスタートを切ることができたのかもしれないと、いよいよ、そう遠くない未来で自分の魂が求めるお茶と出会えるのかも知れないと、ドキドキ♡が止まりません。

 

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※2:
エピソード【気になる樹】①~②

何かの気配
原料に特定している茶樹たちは、なんとも奇妙なご縁の老茶樹たちです。

彼らは、まだ何も知らなかった出会いの時から、いつもただならぬ特別な気配で、1度でも魂震えるおいしさやその片鱗を見せてくれたことがあります。それぞれが、多々ある茶樹とは一線を画した違う個性でありながら、そのどれもが、もっととんでもなく高質で前代未聞の特性を秘めていると感じます。それを飲んでみたいと、心が強く求める茶樹たちです。そのような老茶樹が、全部で9地点にあります。

当初はどれも、周囲と同じ剪定法だったため、外見では区別がつきませんでした。山岳地帯の茶山は、見渡す限り峰が連なり、目印になる民家なども無く、何時間歩き続けて山を上り下りしても、どこまでもどこまでも同じような茶樹と、似たような景色が続きます。土地勘がなければ、何日も山の中を彷徨うことになります。にもかかわらず、なぜかいつも決まって、同じ茶樹を見つめている自分に気付きました。そのことが不可解で、とても気になりました。

そのような茶樹が、複数の地点に少しずつありました。環境の違う離れた高山に点在していることと、それらを全て合わせても、なぜかおとん(※3)の茶園全体のわずか数100分の1と極端に少ないことも、とても不思議でした。どういうことなのか、年々気になりました。

 

何かのご縁
後に調べたところ、それらだけは、他の茶樹と異なることが分かりました。

全て『天然野生紅芽』(※4:エピソード「9つの老茶樹」ご参照ください)の子樹である上に、8地点は、特に樹齢の長い老茶樹でした。しかも3地点は、現存することが奇跡のようなご長寿で、まだ山深いこの辺りに茶園の文化が無く、鉄観音が天然の野生茶樹であることが当たり前だった時代に、2地点はおそらく※おとんのご先祖さまが、1地点はおじい&子供だったおとんが、森林の中に挿し芽で増やしたものでした(※おそらく:ひいひいおじい以前の確認が不可能。おじいがひいおじいから管理手入れを継承したこと&その時点ですでに老茶樹であったことはおじい本人に確認済み)。

奇しくも、彼らは全て、非常に希有な茶樹でした。希少な品種の上に希少な樹齢をも兼備した、安渓鉄観音として極めて貴重な存在でした。そのことに加え、個人として特別な存在である、おとんのルーツである方々が手入れし育てていたその歳月と想いに直接触れている、わずかに残っていた茶樹が、全て含まれていました。

製茶しているのは、このような不思議なご縁の、数少ない気になる茶樹たちです。

 

※3:おとん:非物質文化遺産伝統安溪鉄観音茶製茶技芸伝承人・福建省十大茶人・福建省製茶大師・政府関連の茶王賽評委も長年務める・他

 

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※4:
エピソード【9つの老茶樹】①~⑪

薬用の茶樹
これも偶然なのか、9地点の老茶樹たちは全て、絶滅した『薬用』の茶種であり、その子樹※たちでした(※子樹:二代樹:おとん家では野生茶樹(母樹)から挿し芽で増やした茶樹のこと。但し百年樹は確認が不可能なため、実生が含まれている可能性も否定できない)。

彼らは、かつてこの辺りの大森林に自生していた60種以上に及ぶ野生茶樹の内、10数種あった『鉄観音』の中でも、唯一の特別な『薬用』の樹でした。各地の中医(漢方医)たちや土地の一部の人々に古くから伝わり、その効果の大きさと生態数の少なさから、珍重されていた種である『紅芽(紅芽鉄観音)』でした。

母樹である「天然野生紅芽」は、すでに見つけることが困難になって久しい状態でした。2004年夏頃、わずかに残っていた原生林が開拓のために焼かれた後は、絶滅状態となり、最後に製茶できたのは、少量ながらもその年の春茶となりました。そのような現代に、彼らは奇跡的に生き残っていた、その子樹たちである「天然野生紅芽(の)二代樹」でした。

後になって多くの情報を整理し、そのような背景の珍しい茶樹であることに、気付きました。

 

調査と気付き
初めて安溪に入ってから10数年にわたり、様々な情報や説を集め、整理しました。

特に、『鉄観音』『陳年茶・老茶』『薬用茶』に関して、アンテナを張りました。おとんや他の安渓各地の茶農家さん・安溪茶叶管理委員会・旧国有茶叶公司・茶商・研究者等等、安渓で長年茶葉に携わっていらっしゃる立場が異なる方々から、ヒヤリング等を重ねました。

同時に、「天然野生紅芽」の生態地点を数多く知っていたおとんと一緒に、その実態の調査を続けました。毎年製茶が終わると、おとんが子供の頃から記憶する限りの全ての地点を、日を分けて周りました。毎回ルートを変え、以前は無かった場所も確認しながら、近隣の山山を山頂まで登り、探し歩きました。

代々おとん家には、毎年春になると、おとん家で製茶していた『野茶※』を『中薬(漢方薬)』の材料として買うために、遠方から中医たちが出入りしていました。それが何代も前から続く、唯一の収入源であったこともあってか、おとんは多々ある酷似する茶種を明確に区別していました(※野茶:一般には種を問わず「野生の茶」の意。しかしおとん家では「天然野生紅芽100%」の意、それ以外の種が『不値銭(値打ちがない・価値が非常に低い・お金にならない程度)』であったことから、ひいおじいとおじいとおとんは一切製茶しなかったため、おとん家には『野茶(野生の茶)』=「紅芽」しか無かった)。

野生らしき茶樹を発見しては、野生とそうでないものの見分け方・紅芽と他の鉄観音との違い・それぞれの種の特徴等を教わりながら。。ある時は、身振り手振りで語ってくれる、若い頃の山奥での暮らしぶりや製茶の様子を質問攻めにしながら。。ある時は、審評したての新茶たちに対する考察や仮説を交わしながら。。ある時は、何十年経ても思い出される、森で出くわし足がすくんだ老虎の息づかいや人間の子供を鷲づかみに飛び去る大鷲の様子など、生々しい恐怖体験話に一緒に身震いしながら。。ある時は、薬草や食べられる植物や動物の形跡の解説を聴きながら。。ある時は、唐突に思い出して大声で歌い出す昔の茶摘みの山歌を聞きながら。。時には、ただ黙々と背丈を超えるトゲだらけの草木をかき分けて進みながら。。また時には、揃って言葉を忘れる空の青さにしばし魅入ってしまいながら。。。

何年もかけて、ふたりで探し続けました。時折飛び立つ野鳥と、崖を移動する山羊たちと、「山羊のおんじ」以外、人っ子一人見かけない静かな高山の中で、大空の下たくさんたくさんお話を交わしながら。。。

結果、わずかに残っていた地点も早い段階で急速に消滅していき、最後まで残っていた地点も全て根こそぎ失われたことを、ふたりで確認しました。その後、再生を期待したものの、10年以上1本も見つかりませんでした。

その歳月の中で、次第に、残っているこれらの子樹たちの希少さや貴重さが、想像以上であることに、気付いていきました。

 

もうひとつの気付き
そしてもう一つ、「自分がこの地と強く繋がることになった根底にあるお茶」の子樹たちである、ということにも気付いていきました。

2003年秋、生まれて初めてお茶で大仰天し、猛烈に惹かれ、毎日飲み続け、その樹に会いたくてこの山に来ました。いつも心から離れず、常に飲みたくて、しかしもう作れなくなってしまった、あの日おとんが体調を崩して困っていた私に届けてくれた「あのお茶」。あの日からずっと変わらず「自分史上一番作りたい茶樹」でありながら、作る前におそらく永遠に失われてしまった茶樹たち。

彼らは、その分身たちである、と気付いていきました。

 

迫りくる時代
振り返ってみれば、「あのお茶」に出会った当時の安渓は、すでに新しい時代に大突入しており、産地全体で若木の原料を量産する流れが猛進していました。

その少し前に開通したばかりの電気が、山間の農村部まで普及し始めた頃でした。急速に現代的な茶園開発が進み、至る所で新しい苗木が植えられ、山が切り開かれ、道路計画が奥地まで進行し、茶葉市場では『現代茶』が主流となり、製茶現場では製法が著しく変化していました。

そのような中で老茶樹は、『不要、做不来好茶、香不高、没用(必要ない、好いお茶が作れない、香りが高くない、役にたたない)』とされ、各地で野生のみならず古い茶園も、品種問わず全て抜かれていました。

その波はたった数年で、おとんが若い頃はまだ野生の虎や鷲も生息していた程、安渓の街から遠く離れたこの奥地まで、近づいていました。さらに人里離れた高山の山頂近くで、ひっそりと生きていたこの老茶樹たちにまで、知らぬ間に迫っていました。

 

消えた老茶樹
ある年、なんの前兆もなく、言葉を失う光景を目にしました。

人生の大半をかけて手入れし管理してきたおとんも知らないうちに、もう1地点あった立派な老茶樹たち(「おとんの初代樹」)が、1本残らず消えていました。そこには、辺り一帯と同じように、草木が消え失せ赤土が剥き出しになった山肌に、箸程の幼苗がびっしりと植わっていました。

その数年前から、すでに作られなくなっていた『伝統茶』を飲みたいがために、懸命に年月を過ごしていた最中でした。毎シーズン自分で『伝統茶』を作り続け、愛飲し続け、無くなりかけていたその製茶環境を復活させ、それを維持していました。そのために必要な費用を、貯金を崩し働いて貯め、出し続けていました。そのようにして飲みたい人間がまだいることを一生懸命伝えながら、いつか自分が作りたい茶樹中心で作らせていただけることを目指して、まずは、おとんが選んでいた若木の原料をどのような条件下でも納得できる『伝統茶』に仕上げることを目標に、日々精一杯取り組んでいました。

しかし、そんな程度で太刀打ちできるようなことではないことを、足元に広がる光景で知りました。

 

立場の違い
茶樹がなくなれば、例え他が全て揃っても、永遠に作ることはできなくなります。

せめてまだ残っている老茶樹は抜かずに育て続けて欲しい、などと願ったところで、口にはできません。おとん一家にとっては、限られた土地で少しでも高値になる茶葉を増やしたいところに、『作っても好茶にならず安値にしかならない』老茶樹を残しておくことも、その手入れや管理に膨大な手間暇やお金をかけ続けることも、死活問題でした。

どうすれば自分が飲みたいお茶を飲む道を作ることができるか、必死に考えました。

 

ピンチを救うもの
たどり着いた答えは、とにかく、おとんの老茶樹に対する強い固定観念をひっくり返すことです。もしもそれができたら、道は拓けるかもしれません。

しかし、それができるとしたら、お茶で立証する以外にありません。そのようなこと、途轍もなく現実離れしていました。

それは、根拠となっている巨大な2つを覆す茶葉を作る、ということです。強い情報による影響と、それを確定付けた実体験に基づく判断。おとんはもとより、その背景にある強大な流れとも真逆の方向に進む、ということになります。逆流が重なる中、『無い』とされているものを手探りで作り出しながら前進するのです。それも、『外国人』『女人』『外行(経験がない、本職でない、素人である)』が・・・。想像するだけで、更に理解者のいない長く険しい道なき道が見え、生きている間に出口を見つけられるとも知れず、絶えず孤独で、途方もなく思えました。

それでも自分の心は、目の前の彼らの可能性を強く感じ、その先にある未来を確信して震えています。そこで会える初めての香りや味わいたちにドキドキ♡ワクワクが止まらず、それを一緒に飲んでいる大切な人たちの見たこともないような笑顔や歓声にウキウキ♡ルンルンで、早くその場所へ行きたいと一直線に向かっています。その心を信じ、その声に従いました。

すでに歩み始めていた先の見えない長い道のり覚悟の挑戦に、更なる挑戦を課しました。

 

不可能との闘い
明日にもどこかが抜かれるかもしれない、という状況の年月が続きました。無くなるのが先か、成功するのが先か、お金が尽きるのが先か、という時の中で、聞けば誰もが『到底不可能だ』と何もかも一笑に付す、未知数の挑戦を続けました。

まずは、その頃にはおとん不在が常となり独りで製茶するようになっていた『伝統茶』の製茶現場で、それまでのように単に「伝統的な製法による良質な茶葉を安定して作ることに単独で成功する」ことを目標にするだけでは、もう間に合いません。その上で、老茶樹の真価を発揮させる製法を発見し、それぞれから説得力ある高質さでありながら他には無い個性が魅力の茶葉を生み出し、それを毎シーズン連続して、数年に渡って成功させる必要がありました。

続いて、それらの全てを、それぞれの製茶シーズン終了後、一斉に並べ、その場で直ちに&その後も継続して、国家標準以上の審評法でおとんに複数回飲んでいただく必要がありました。

おとんには、非常に秀でた天性の才があることを、その頃には経験からはっきりと感じ取っていました。おとんは、人間の言葉では多くのことを認識しません。しかし、実体験の感覚でなら、野生動物並みの速さと正確さでありのままを認識します。その認識が心の核まで達すれば、その先は頭が忘れても身体が反応し、そこに嘘やブレがありません。特に味覚は驚異的で、そのハート♡センサー(大好き・気持ち好い・愛しい・飲みたい・食べたい・欲しい・もっと口に入れたい・もっと体に入れたい)が激しく作動するほど、核深くに達します。そうなると他の情報を飛び越え、その事実だけが純粋なまま根強く記憶されます。おとんにとってお茶は、その最たる物です。しかし、そこにも年齢と共に変化がある気配を感じ始めており、その才とその才による半世紀以上分のデータが、まだまだ満開の今が、その時だと感じました。

そこで、お茶を介して、①「この香りや味わいが【事実】である」こと・②「素晴らしいお茶を作ることができる【価値】ある茶樹たちである」こと・③「故にかけがえのない素敵な【財産】で残すべきである」ことを、繰り返し伝えようとしました。人間の言葉ではなく、体感で確認できる現象で示し続けるのです。目指すのは、それらのことをおとんの天性の五感たちが本気で納得し、その認識がおとんの心の核心まで至ってくれることです。

並行して、こうして生まれ続ける茶葉たちを、一緒に飲み続けてくれる仲間(◆5:《心の隊員》)を探し続けました。猛烈な長期戦が必須となります。時間的にも費用的にも精神的にも、これまでの比ではありません。ひとりで進み続けるのが極めて困難になることは、明らかでした。しかし心から本気で歩み続けていれば、必ず共に歩いてくれる仲間と出会えると信じ、この挑戦の継続を目指しました(継続中)。

最低でもここまでをクリアできなければ、その先にある夢の実現など、夢のまた夢です。

 

おとんの変化
まだまだ道半ばであり他の不安要素も多いものの、当初は『偶然だろう』と半ば信じていない様子だったおとんも、それが目の前で何年も続く現実に、徐々に変化していきました。

10年以上かけて、毎シーズン少しずつ。。。

『奇怪だ』『どうして愛子は全部を好茶にできるんだ?』『好茶になるのは私は全体の1~2割だった、多くても3割だ、しかしそんな年は滅多にない、それでも他の人より多かった』『愛子は百発百中だ、なぜだ』。。。『あー!気候が好かったんだ!』

『おかしい』『何年も続けて春も秋も全部が好茶になるなんて、変だ、聞いたことが無い』『なぜ失敗しないんだ、しかもどんどんレベルが上がっていく』。。。『そうか!原料が好いんだ!』

『どうしてだ?』『愛子が作ると老茶樹なのに特別なお茶になる、どれも茶王以上だ』『なぜ就寝後の口の中に、昼に飲んだあの味がまだするんだ』『私が作ると老茶樹は香りは出なかった、茶王どころか好茶にすら1度もならなかった、そう言われていたし、他の人もそうだった』。。。『そうだ!きっと天気が・・・』

『ありえない』『どうして天気が悪くても好茶になるんだ?そんな経験私には1度もない、聞いたことも無い』『そうだ、あの「15春のあれ」もあの日は雨が降ったんだ、だから誰も手伝いに行かなかった、なのにあんな凄いの飲んだことがない、あれ程のは生涯二度は無いはずだ、絶対にとっておくんだ』『愛子は一体どうやって雨の日にあれを作ったんだ、しかもたったひとりで・・・』。。。『きっと、たまたま・・・』

『どういうことだ?』『私の人生の茶王は、愛子が作った「13秋のあれ」だった、あれ以上は無いと思った、なのにその後もっとすごいお茶が出てくる』『私はこれまでに何度も言った、これが最高、これ以上は無い、あるわけが無いと、その時は本気でそう思ったんだ』『だが愛子は、次にはそれを超えるお茶を作る』。。。『・・・・・・』

『なぜなんだ?』『どこかで思っていた、私がいるから成功するのだと、昼も夜もほとんど居ないが日に一度は私が様子を見に来る、だから失敗しないのだと』『しかし今秋、私は街でずっと入院していた、一回も来られなかった、最初から最後まで完全に愛子ひとりだ』『手伝いが誰もいない、だから今秋は休もうと電話で言ったんだ、けれど愛子は毎日ひとりで作った』『結果、私がいた時よりずっと上だ』『信じられない、どうして作った全部が特別な等級なんだ、どうやったらこうなるんだ』。。。『・・・・・・』

『分からない』『しかし、どうすべきかは分かっている』『愛子が作っている側に私は行ってはいけない、私が顔を出すと愛子のお茶が壊れてしまう』『私だけではない、誰も近づいてはいけないんだ、見に行ったり話しかけたりしたら絶対ダメなんだ』『誰かが愛子の邪魔をしたらこんなお茶は2度と飲めなくなってしまう、ダメダメそんなの耐えられない』。。。『誰も近づいたらダメだーー!!』

『知らなかった』『老茶樹は本当においしい、香りも味も特出している、私はこれが好きだ、もっと飲みたい』『あぁ・・・なんと惜しいことをしたのだろう、他には残っていない、増やすこともできない』『安渓中探しても多分もう見つからない、あったとしても数株だろう、それでは作れない』『愛子の言うとおりだ、非常に貴重だ』。。。『抜いたら絶対にダメだーー!!』

ひっくり返りました、ついに、完全に。

本当に長い年月、「十歩進んで九歩下がる」を繰り返しながら、少しずつおとんは変わっていきました。それによって、おとん家族の考えにも変化があり、植え替えられてしまうことをいつもぎりぎりのところで、なんとか阻止し続けられています(2022年11月現在)。

こうして、およそ10年に渡る闘いの果てに、どうにか出口を見つけることに成功し、道が大きく拓かれ、次のステージへと進むことができています。

 

家族の愛
『伝統茶』を単独製茶するようになってから10年程したある日、この9地点の老茶樹を、おとん一家が『愛子的(愛子の)』と呼んでいるのを耳にしました。

どういうことか、いつの間におとんもおかんも彼らの子供たちも、心から信じてくださっていました。『愛子にしか作れない』『愛子が一生研究する』『愛子が来なくても誰も手を出してはいけない』『愛子はもっと好いお茶を作る、必ず作る、絶対だ!』。。。一体いつから、何が決め手でそういうことになったのか、さっぱり謎です。

ではあるものの、その期待に満ちて向けられるキラッキラ☆したまなざしと、好いお茶が仕上がると家族の誰もが我が事として喜び盛り上がっている姿に、いつも心が震え、身体が熱くなります。

いつか作れなくなる日まで、常に今日が最後かもしれないと取り組んできた姿勢を変えずに、次はもっと上を目指して自分にできる精一杯をやり尽くしたいと、いつだって気持ちがこみ上げてきます。

 

スタート地点
気付けば、2017年春から、完全に「9つの老茶樹」専門で製茶しています。

しかもその時から、考え得る最高メンバーでの製茶体制になりました(継続中)。すると仕上がった茶葉が、明らかにそれまでとは違う驚きのステージに突入しました。半信半疑でそこから3年6シーズン、油断せず更なる研鑽努力を続けると、茶樹たちも茶葉たちも、まるでそれに応じるかのように信じがたい上昇を続けました。

6シーズン続きました。100種はとうに超えました。どうやら偶然ではなさそうです。おとんの過大評価でもなさそうです。

行けるかもしれません。彼らとなら実現できるかもしれません。もしかしたら、本当にスタート地点に来られたのかもしれません。

いや、ひょっとしたら。。。もうスタートしているのかもしれない。。。
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4:ガッツの高級評茶師(2004年~&2006年~)
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未知の国家試験
2004年から、外国人を受け入れた前例のない中国国家機関の研究院のカリキュラムに参加させていただきました。2006年からは、ふいみんも加わりました。

中国独自の専門分野における、辞書も資料も調べる方法もなく聞ける先駆者もいない、膨大な学術用語の中国語の壁にぶつかり、愛子にはそれ以前の語学力の壁も重なりました。試験(筆記・操作・論文・答弁等)対策の情報も一切なく、広範囲で要求される専門性や精度性の高さに、挫折しそうになっては二人で励まし合い、老師方や同学たちのサポートも頂きました。

8年(愛子)&9年(ふいみん)かけて、数段階の国家試験を突破し、ついに最後の難関にも合格することができました(※5・※6)。まさか最高位に到達できる日が来るとは、スタート時は老師方も想像していなかったほど、世紀の大挑戦でした。当然ながら、その道のりに容赦はなく、早朝から深夜まで激ハードな缶詰め状態で、よそ見する隙間など一切なかったため、その様子はほとんど発信しておりません。

また、内容的に公開不可のため、この先も詳細等の発信はいたしません。しかし、そこでの学びは常に製茶に生き、その製茶のお蔭でステップアップし続けることができた年月でありました。そのため、その成果は、その期間も製茶現場から発信し続けてきた情熱ぶろぐと、何よりもお分けしてきた全ての茶葉たちに、はっきりと現れております。

全カリキュラム修了後も、学ばせていただいたことを製茶に生かしながら、更に深まる謎を解き、探しものを追い続けるために、学び続けています。

 

奇妙な遭遇
振り向けば20年以上、『中国の歴史上最も激変した50年』とも言われる時代の中でした。活動停止の危機を幾度も乗り越えながら、いつの日か自分の魂が求めるもっとおいしいお茶を飲むために、一歩一歩、発展を遂げてきました。

不思議なことに、後に各々10年以上製茶することになる国家最高峰の複数の伝統茶と、その製茶・評茶を師事し家族のような交流をすることになる方々との出会いは、全て、お茶も人も介していません。見ず知らずの人間同士、一対一で、直接遭遇しています。その時期も土地もシチュエーションも、それぞれの立場もバラバラでしたが、共通して、何度一緒に振り返ってもお互い説明がつかないことが多い、奇妙な遭遇でした。

まだインターネットもデジカメも無く、携帯電話はおろか固定電話さえ珍しい時代を、地図とノート片手にカメラとリュック背負って、歩いて歩いて、おいしいお茶を探し周りました。ところがなぜかいつも、その道中ではなく、お茶とは関係ない思いがけない場所で、思わぬ時に、思いもしなかったようなお茶と深い縁がある方々(例:※3・※7)と、偶然出会っています。まだお互いそんなこととはつゆ知らず、心のまま成り行きで招かれた先に、後に作ることになるおいしいお茶や茶樹・学ぶことになる場所がありました。

 

愛と感謝の相乗効果
広い広い大陸で、様々な愛情深い方とのご縁があったお蔭さまで、伝統が古いものとされ廃れていく中、時代を逆行するでなくますます進化してこられました。

敬愛する茶師の大先輩方の、温かい笑顔や励ましにいつも背中を押され、過分とは分かっていながらもお褒めのお言葉が何よりも嬉しくて、奮起し続けることができました。今なお、難題に直面するほど心が高鳴り、気がつくと夢中になって取り組んでおります。

2004年から11年間学ばせていただいた国家機関では、理論面の師匠方(※7)が、論文発表&答弁の会場で毎回大絶賛してくださいました。『初めて知った…聞いたことがない』『もっともっと読みたい!全部見せて!お茶も全部飲ませてー!』『みなさん、本当の研究っていうのはこういうことです』。。。そのご反応に心から安堵と歓びが湧いてくるのと同時に、一学生からも真剣に学ぼうとなさる眼差しに常に身が引き締まり、更なる上へと挑み続けてこられました。

2003年から通っているおとんの山の家(製茶現場)では、実践面の師匠であるおとんが、いつも大感動してくださいました。『これも飲んだことないっ☆ もっと飲みたい~♡』『作ったことない… どうやって作ったの??』『誰も作れないっ!誰も真似できないっ!もっともっと作ってーー!!』。。。その笑顔と歓声が何ものにも代え難いほど嬉しくて、毎シーズンおとん初体験のおいしさを生み出し続けてこられました。

お蔭さまでこの20年近く、人も住まない高山の山奥は、季節になるといつも、若き茶師たちの歓喜のおたけびやら笑い声が木霊しています。

 

※5:愛子 2011年取得 於 国家茶叶质量监督检验中心・杭州茶叶研究院
※6:ふいみん 2014年取得 於 国家茶叶质量监督检验中心・杭州茶叶研究院
※7:国家茶叶质量监督检验中心・杭州茶叶研究院の名誉院長・副院長を初めとする老師方

 

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5:《心の隊員》(2007年~)
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3人の茶師チェック
挑戦の結果である茶葉たちは、まだ摘まれていない茶樹の段階から情熱ぶろぐに登場します。『新茶』として完成した後、数ヶ月に及ぶ3人の茶師(おとん・愛子・ふいみん)による厳密な審評が行われます。最終審査に合格し、且つ愛子が納得できる仕上がりのみ、《心の隊員》(※8)にお分けしています(※9)。

 

同じ釜の茶葉を分け合う仲間
《心の隊員》は、実際に飲むことで応援してくれる、同じ釜の茶葉を分け合う仲間です。釜ごとに明確に細分化された茶葉はどこにもなく、その世界を知りたければ自分で作るしかありません。その心に乗ってくれる、かけがえのない存在です。

製茶現場には参加できないけれど、心で挑戦に参加して、未知の扉を開くドキドキ♡を共に楽しんで、ぶろぐで誰も知らない世界を一緒に冒険して、時に苦難や傷心にも心を寄せてくださり。。。、果たして今回はどんなお茶たちになったのか!共にワクワクしながら届く日を心待ちにしてくださる、おいしいお茶が大好きな仲間たちです。

 

心の製茶メンバー
初めて募集した2007年から常に、愛子の心の最強の支えで、感覚を分かち合える最高の存在で、そのおいしい笑顔が最大の目標です。彼らがいてくれたから、ひとりの時もひとりではない感覚があり、絶望的な状況の時も心折れずに何度も立ち上がることができ、今日まで続けてこられました。

製茶にかかった費用の一部が、例えわずかであっても現金化する見込みがある状態は、現実面はもちろんのこと、何よりも心を寄せてくださる方が存在するという事実に、心が信じられない程救われました。必ずそれ以上の茶葉を届けてみせるという決意が生まれ、その決心が誰も想像しなかったような茶葉を生み出し、その茶葉が鍵となり思いもしなかった急展開で大逆転のように好転し。。。その積み重ねで、今と今の目の前の茶葉たちが、あります。

絶対的に欠かすことができない、心の製茶メンバーです。

 

★誰かと共有できる歓び
とてもとても小さな趣味のサークルではありますが、長い年月ゆっくりと和やかな活動が継続しております。時に言葉にならない世界に浸り合ったり、転げて笑い合ったり、熱く語り合ったり、会えない方とはメールで想いを伝え合ったり、心で笑顔を想像し合ったり。。。それぞれのもっとおいしいお茶を発見しながら、まだ誰も体験したことのないおいしさの世界を自由に楽しんでいます。

これからもきっと新しい《心の隊員》と巡り会えると信じ、また、お休み中の《心の隊員》が帰って来られる日を願い、このささやかな和が細々とでも末長く続けられることを希望に、いつも歩き続けています。

 

※8:もとは、結果どうなるか分からない種々の夢の挑戦製茶の企画段階で募集し、実現後に結果を参加分に応じてお分けして終了していました。しかし、次第に挑戦内容や茶葉の質等が進歩して様々な変化があり、製茶後も紹介するようになりました。17春以降は、更に劇的に進化して、指定地点の鉄観音老茶樹のみを全て追究製茶し続けるという、長年の夢を新体制で現在継続中です。全てを10年以上堪能できる茶葉に仕上げていることや、製茶時の審査に長期間要すること等、明らかに当初から大きく発展した新しいステージが始まっています。そのようなこと等から、茶葉の紹介方法等も大検討中で、まだ発表していません(17春・17秋・18春・18秋・19春・19秋:23年5月現在)→23年6月発表しました(「≪心の隊員≫Since17」「カテゴリー>冒険と挑戦の結果シーズン茶譜」)。

※9:茶師個人の研究目的の茶葉のため、営利利用はお断りします。商用製茶はいたしません、申し訳ございません。非営利の自由研究活動の継続を目指し、お分けする茶葉分に要した製茶費用(主に茶樹・設備等の年間維持管理にかかった費用)の一部と交換でお分けしています。ネットショップではありません、趣旨をご理解の上ご連絡頂けますようお願いいたします。私たちと同じように個人的な趣味の会等でご活用やシェアしていただくことは、大感激♡大感謝です。

 

ここまで読まれてご興味がある方は、時折情熱ぶろぐをご覧頂き、そのタイミングが来ましたらぜひお声がけくださいませ、お待ち致しております。つたない長文にお付き合い下さりありがとうございました。多謝♡愛子 

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※1:

【参与制茶的茶叶】
浙江省:翁家山、梅家坞龙井、桐坞龙井
江苏省:山碧螺春、西山碧螺春
安徽省:黄山毛峰、太平猴魁、祁门红茶
福建省:茉莉花茶安溪铁观、冻顶乌龙、毛蟹

【研究题目例子】
・全茶叶:品种的品质比较
・全茶叶:手抄与机器炒的品质比较
・全茶叶:柴锅与电锅的品质比较
・全茶叶:品种相同地域不同的品质特征之差异
・全茶叶:同一个村里不同地点、土壤等的品质特征之差异
・龙井与碧螺春:改变制茶法(龙井原料用碧螺春制茶法与其相反)的比较
・茉莉花茶:100%的茉莉花茶与使用玉兰花时的比较
・茉莉花茶:窨花可以到什么地步?多窨品质会有何变化?
・铁观音:茶树树龄相异的品质比较
・铁观音:手揉与机器揉的品质比较
・铁观音:生态茶园与一般茶园原料的品质比较
・铁观音:自然空气与利用空调的品质比较
等等、在继续

【论文例子】
★爱子
2009年 手工铁观音的魅力:与机工的品质特征的代表性相异点以及其原因的初步研究
2011年 铁观音手摇与机械摇的香气变化的感官记录
★慧敏
2011年 通过比较中国・香港・台湾・日本的中国茶教室看各地市场对茶叶的要求倾向
2014年 使用不同的水泡茶对茶汤影响的一个实验
等等

【其他】
2003年 第二届中华茶产业国际合作高峰会 发展研讨会 发表论文
2004年 上海国际茶文化节 名茶博览会茶王赛 参与评委
等等