黄金伝説

小紅がときどき言う。
『はあっ!茶葉が金黄色!!』

初日、各地点への下見に連れて行き、その茶葉の姿を見た瞬間。
『わあ!とってもきれいーーー♪愛子、この場所みーんな金黄色だ!』

製茶開始、2日目、静置中、木架から笊を引き出し、その色合いを見た瞬間。
『え?!愛子の茶葉、黄金色だ!なんで?え、なんで!』

茶摘みしながら。
『ねえ愛子、気付いてた?山の中で鉄観音だけ黄金色なんだよ。』

 

この山の家で育った小紅。
物心つく前から、おとんとおかんと一緒に山でいろいろなものを収穫して生きてきた。
製茶の時期は、主に山に入って茶摘み担当。
現在は、うぇいうぇいの製茶所で主に晒青担当。
そっちが終わって、こっちに来てくれる。
一緒に山を歩くと分かる、ものすごく「眼」が好い、さすがおとんの娘。
野生の鉄観音を探して山を歩きながら摘んでいた数十年、
何万種もあるだろう大自然の緑の中で、茶樹だけでも何十種類もあるけれど、
鉄観音だけが金黄色(黄金色)に輝き、遠方からでも分かるそうだ。

けれど、時代が変わり、人工の(茶園の)茶樹になったら、葉の色は変わってしまい、
黄金色に輝くことはほぼ無くなった。

『愛子の茶葉(原料)は、あそこも、あそこも、金黄色だった!この秋は特別きれい!!』

小紅には、私が作るお茶、ときどき黄金色に見えるらしい
私が選ぶ茶樹に、揺すった茶葉に、淹れた茶湯に、
自分では気が付かなかった

『黄金伝説だあ!』by花餃子

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