おとんにとって『おいしくない』って、どんな鉄観音??
もちろん、長年一緒に飲んでいるから、その反応から経験的に知っている。
でも、はっきり聞いたことはない。
おとんが、具体的にどういうお茶を、『おいしくない』、と感じているのか。
今飲んでいるのは、うぇいうぇいのこの秋の現時点での一番好いお茶。
買い付けに来た商人達からは大絶賛で高値が付き、本人は嬉しいだろう。
だから、工人使って今朝おとんに届けさせた。
でもおとんは、『おいしくない』、を連発・・・。(※表では決して言わないよ)
聞いてみよう。
◆味のないお茶
「どこがおいしくない?」
『何の味もしない、、、白湯みたいだ、、、愛子のお茶の2日目(飲み倒した後の状態)より薄い、、、(絶句)』
「味が薄いのはおいしくない?」
『そりゃそうだよー、お茶なのにお茶の味がしないんだから。』
(そりゃそうか)
「おとんは、こういうの作ったことある?」
『ここまでのは無い、薄いのはいくらでもあるけど、一番薄くてもっと味が出た。これは、渋みも苦味もなんにも無い、、、(シーン)』
◆渋いお茶
「おとんが昔自分で作ったお茶で、おいしくなくて不満だったのは、どんなお茶?」
『渋いお茶。』
「渋いのはおいしくない?」
『ダメ、渋いのが一番好くない、どうやっても消えない。昔は多かれ少なかれ、みんな渋みがあったんだ。』
「どれも渋いの?」
『そう、渋いから子供の頃はお茶が大嫌いだった。父親(おじい)が作ったのも渋かった。自分だけでなくみんなそうだから、お茶はそういうものだと思っていた。』
「他の人が作ったのも渋い?」
『あーダメダメ、他はもっと渋い、飲めたもんじゃなかった、大人になっても人が作ったお茶を飲むのは本当に嫌だったよ。周りと比べれば自分は少ない方だった。けれど、愛子みたいに渋みが全く無い甜いお茶なんて、ほとんど作ったことがない、他で飲んだ記憶もない。』
「渋みが無い、って好いの?」
『好いに決まってるさーー、みんなそうしたくてもできないんだから。どんなに甘くておいしい味があっても、そこに渋みがあったら台無しだ。』
「そうなんだ。。。渋みを出さないように作れば?」
『ん?どうすればそうできるのか分からない。どうして渋くなるのか、分からないんだ。』
「理屈がわからないで作っている、っていうこと?」
『みーんなわからない、昔の人は学校に行ったこともないんだ。誰も知らないさ、教えてくれる人もいない。みんな見よう見まねで、なんとなく、適当に作っているんだ。』
「そうか。。。でも、もともとお茶ってそういうものだものね。」
『そうだとも、親や周りがやっているのを見て真似する、みんなそうだ。学も無いし、理屈なんて分からないさ。』
(どこの産地も基本は同じね)
『どうして愛子のお茶はちっとも渋みがないんだろう?なんでみんな甘いんだろう?苦味もないし。。。』
「それは、そうなる原因を作らないように加工しているから。。。」
『?愛子はわかるの?』
「うん、多分わかっている。もちろん、まだわからないこともあるけれど。」
『それはすごい、なんでわかるんだ?』
「だって、製茶中、全部記録しているから。。。理論も学んだし。」
『はー、そうか!記録!!!そんなこと誰もしたことがない。』
◆苦いお茶
「昔のお茶は、苦かった?」
『苦味も、多かれ少なかれ、どのお茶にもあった。』
「苦いのはおいしくない?」
『微苦は好い、でも苦すぎるのはダメ、だが渋いよりはまし。時間が経つと消える苦味もあるし、回甘になる好い苦味もあって、それを好きな人もいる。でも、渋みは時間経っても絶対に消えない。』
(そうね、苦味は味だけど、渋みは反応だから。。。特におとんは、そのあたり敏感だろう。それに苦味は、正常なものと異常なのがあるから、実際に飲まないと判断できない。)
『そういえば愛子は、ここ数年、苦味も少ない。。。どうしてなんだろう??』
「そうなる可能性を作らないように進行しているから、だと思うけど。」
『?どうやるんだ?』
よっしゃ☆
おとんの興味が移ってきた。話題を、「昔の鉄観音」に、もっていこうっっ!!!