標高1300m以上、大自然と茶畑に囲まれ、ぽつねんとあるお茶の製造工場。

山の上の茶壷・・・・??
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先頭に立って出迎えてくれるのは、「黄山のお父さんっ!」と、私が呼ぶ人。
いつものように緑茶の入った透明の蓋つきマイポットを両手で包み込むように持ち、すっくと立って、
うんうん、ってうなずきながらにこにこ笑顔で迎えてくれる。
還暦を過ぎているのに、お肌はぴっかぴかでつるんっつるん。
お昼ご飯には、毎日必ずどんぶり山盛り2杯。(おそるべし、中国茶パワー!?)
この黄山のお父さん、中国でも有名なお茶の研究家。
《緑牡丹》や《錦上添花》をはじめ数々の芸術茶や《満天香》はじめとする色々な緑茶の発明者。
(知り合ってずいぶん経ってからテレビや新聞でこの事を知り、
「あれっ?お父さん?」って、、、
自分の無知さに本当に恥ずかしい思いをしました。
(そりゃ詳しいはずだよ〜!とほほ...)
お茶づくりのオフシーズン(?)以外は、黄山・祁門・太平などの高山にある各茶基地を転々と登り山にこもり、茶樹の成長を毎日見守り、
製造過程を厳しくチェックし、どうすれば美味しいお茶になるのか、品種改良を含め日夜研究していらっしゃる方。
この季節、山に登らないと会えないのです。
そうそう、今ではすでに姉弟と呼び合う仲になり、ちゃっかり家や店や社長室を自由に使わせてもらっている6代目の、お父さんです。
(黄山のお父さん=5代目。)
黄山のお父さんも、その息子である6代目も、私の中国茶の大先生!疑問に思う事、どんなことでもすぐに丁寧に説明してくれる。
私のつたない中国語に黙って真剣に耳を傾け、時間をかけて、いろんな話を面倒くさがらずにしてくれる。
時には、資料をたくさん出し、絵に描き、やっとこちらが納得すると一緒に喜んでくれる素敵な先生!
茶摘みや釜炒りでは、お父さんぴったり傍についていてくれて
「うまいうまいっ!」
「どこで覚えてきたんだっ!」
「なかなかセンスがいいぞっ!」
「来年はここで働かないか?」
「特級茶づくりの専門師にしてもいいぞっ!」
って...のせて、のせて、のせまくってくれるから、ついその気になっちゃって、
「そう?そう?そんなに上手?」
って...そんなはずないじゃないっ!
お父さんも6代目も、素人が手を加えたお茶は、絶対に商品にはしません。
お茶に対する意識が、さすがプロだよ〜、感動しました!
(龍井茶のある農家では明前龍井茶として出荷されてしまいましたが...)
私が仕上げたお茶は工場で働くみんなと一緒に品茶しました。
出来上がったばかりの私のお茶を両手で包み品茶しながら、工場より更に何時間も登らなければ辿り着けない畑の方向を一緒に眺め...
黄山のお父さんが言った、心にしみいる忘れられない一言。
「山好、水好、茶好!」
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