杭州で一ヶ月に渡り開催された西湖博覧会。
茶博の会場では中国全土のお茶が集まり、朝から晩まで血眼で品茶をしつづけ、茶葉をいじくり、
それぞれの担当者を質問攻めにする。
そこで出会った芸術茶の六代目を尋ね、次に向かうは安微省黄山の屯溪。
朝焼けの杭州からガタピシとバスで揺られること6時間。
黄山まであと2時間程の小さな村。屯溪。
寒い。寒い。寒いぞ。なんでこんな寒いんだ。
安宿を探し、荷物を置き、手を洗い、
鼻の穴のお掃除をし(いつものように真っ黒黒)、すぐに街へ。
何百年前から続く古い町並みを名刺の住所を頼りに歩きます。
いいなー。この街。
50m歩いてオレンジ色の焼き芋を買い、50m歩いて煎餅を買い、
50m歩いてしょっぱい焼き菓子を買い、50m歩いてお茶を飲み、、、
そして、、、あったー!ここだ−!
6代目、私たちを見て大喜び。
「なんで電話しなかったんだ。迎えに行ったのに。」
「ホヘルの手配しなければ。なに、もう決めた?だめだ、引越しだ。」
「ご飯は食べたのか。もっと食べろ。」
「座って休憩しろ、お茶を飲め。」
もう、大忙しの彼。あちこち電話をして戻ってくると、
「3日間、すべての予定をキャンセルした。」とのこと。
「具体的な買い物の話をする前に、まず好朋友になる事が先決だ。」
それは、こっちも同じ事。
特に中国に於いては何をするにも欠かせない事。
例えどんなに時間がかかろうが、その後の展開が違いすぎるから。
朋友になる方法も、同じ中国でも土地と人によって全然違うし、
朋友から好朋友になれるかどうか、これも大問題。
さあ、腕(?)の見せ所よ!
彼の所有する4つの山から採れるすべての種類・ランクの茶葉のサンプルを品茶しながら、
互いのお茶に対する意見・知識・味覚などなど、を個人的な話を交えつつ語り合う事、数時間。
互いに信頼できる人間かどうか、探り合いだね!
こっちの反応を見ながら、だんだん6代目ものってきたぞ。
次から次へと、秘蔵のお茶を出してくる。話が尽きない。
店の中、倉庫の中、外に出て色のチェック。
話しながら動いて飲んで、動いて飲んで、のエンドレス。
外はすっかり真っ暗け。 そして、「吃飯(ご飯)!」
そう、ここは中国。
何をしていようが、何処にいようが、誰といようが
一番の優先事項は、「吃飯!」
六代目が連れていってくれた近所の食堂。本当に田舎の料理だよ。
決して豪華な食材ではないけど、その土地で取れるものを一緒に食べながら、笑い合った。
なんだかとってもおいしくて、がつがつ食べてた。
そして、また店に戻り、さっきの続き。
気が付けば、もう9時。田舎の9時は真夜中みたい。
ホテルの手配は丁重に断り、それならば、と、部屋まで送られ、
六代目は私たちの宿の安全性をチェック。OKが出た。
明朝8:30に迎えに来るという。(本当かな?)
これからまだ仕事があるという彼に、お礼と労いの言葉をかけると、
「自分の睡眠時間は人より非常に少ないが問題無い。7時間で十分だ。」
(、、、7時間? )
呆然とする私たちに、何か勘違いしている彼はとっても自慢そう!
そして、振り向かずに去っていた。
一体、この土地の人たちは何時間寝るんだろう?
確かに、起きていれば暖房ないから寒いし、電気代もかかるし、
お腹もすくし、みんな寝てるからつまんないしね。
部屋・・・寒すぎる。3℃。暖房なし。北側。布団は二枚もらった。
持っている服は全部重ねて着た。
シャワーなんか浴びたら死ぬ。浴びなくても風邪引きそう。
ひたすら、熱湯つぎつぎお茶を飲む。
よし、勇気を出して外へ行くぞ!
着いた所は公共の浴池(銭湯)。
でも、日本みたいにお湯に漬かる所はここにはなくて、水道管からドドドーッ、
って出るシャワー(?)がいくつも並んでいます。打たせ湯?って感じ。
ここだけは、もこもこと暖かいから服を脱ぐ事もできるし
真っ黒の体をやっと洗う事ができて、おお、幸せだー。
きれいになった体に、汚いままの服を着重ね、
タオルとフードをかぶって、今度は床屋へ急げ!
ドライヤーを借り、床屋の人と一緒にテレビを見ながらからからになるまで髪を乾かす。
そして、何事もなかったようにお互い手を振り、店を後にする。
さあ、部屋へ急げ!
あちこちで湯気をけたたましくあげている夜食市場を早歩き、
鍋の誘いをしてくれる地元の人々を何グループも断り、
急げ急げ!
やった!布団!冷たい!頑張るんだ!寝てしまえ!
おやすみなさいっ。
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