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単片の釜ほこ品

おとんが製茶室で炒茶直後の状態を確認した時、1煎分の茶葉を持って、

お『愛子やあー、泡一杯茶ー!』伝統茶の時よりご機嫌の様子。

単片の釜ほこ品だ!わーい。

 単片だから梗を取る必要ないって
当たり前か。

 いざ

 おいしー♪

愛『うん、おいしいね。でもね、おとんの家で茶葉がここまでの状態になって、
  よっぽどのことがない限り『おいしくない』のは一種もないから。

  ただ『おいしい』って飲んでいるだけでは、どれもこれもただ『おいしい』だけ
  の記憶になるよ。どれもこれもおいしいのは当たり前。
  どんな風にどの部分を鉄観音としておいしいと自分が感じたか記憶するの。

  専門用語なんか思い出して使おうとしなくていいから、今必要ないから。
  その専門用語の意味を本当の意味で理解してしないなら使っても意味がな
  いから。自分の感覚でいいんだよ、それが一番!!!
  専門用語につなげるのはその後だから。
  
  釜ほこ品のこの香気や滋味や状態、自分の感覚でよく覚えておくの。
  前日の鮮葉の状態も、その原料も、その環境も、その前からの気候も。
  ここから仕上がりまでに確認品茶する途中途中の変化も、その全てを。
  一種一種全部。そうしたら、この先楽しくておもしろくてたまらなくなるよ♪

  どれを選ぶことになるのかまだわからないから。
  結果的に選ぶことになった種類は、この先1ヵ月後も、半年後も、1年後も、
  3年後も、、、全部流れで一緒に記憶するの。

  選んだ後では、このときの状態には戻れないからね。
  確認したくてもできない。

  そりゃ、私だっておとんみたいに詳細に記憶することなんかできないよ、そ
  んなことは不可能。おとんはここで鉄観音と一緒に生きている。一から十ま
  で全て自分で判断して自分で育てて自分で作っている。仕事というの前に
  おとんは鉄観音を飲むのも作るのも大好きじゃん、記憶しようとしなくたって
  自然に記憶しているよ。
  
  そうできないそうなれない、と自分で自覚しているから、いつも意識している。
  今強く自分で意識してメモとらないと、記憶することもできない。
  人間の記憶なんか実にあいまいだよ。あっというまに風化しちゃう。
  それから、今秋は昨秋までよりここで種類は少ないけど、それでもこれだけ
  種類があれば、どれがどれだか意識しないとわからなくなる。


  今のこの味がこれからどう変化していくか。
  それを意識して品茶するの。
  
  わからないことは自分で疑問をもって、疑問に思ったことは必ず自分で覚え
  ておく。その疑問に対して自分でいくつも仮説を立てて、先々その仮説を自
  分自身で確認していかないと、何度おとんの家に来ても永遠に謎は解けない。

  日本についた頃にはすでにこの茶葉は違う状態に変化しているから、この
  状態は今ここでだけしか飲めないでしょ。

  この時の品茶は、現場での今この瞬間しかできない。
  30分後にはさらに状態が変化しているからね。
 
  そうやって全種品茶しているの。
  結果選ぶ種類も、選ばない種類も。
  今品茶しなければ選ぶこともできなくなる。
  仕上がり直後状態では見えなくなることがあるから。
  
  逆に言うと、今から3年後以降も見て品茶してそれに向かっての加工法を
  今決めないと。結果そううまくいくかどうかまだわからないけれど、今決めな
  いとそれも「あーすればよかった」とか元には戻ってやり直しはできない。』

ほえ~~(@_@)そりゃ仕上がる前の状態で品茶できるのは現場ならではの話で
すごく勉強になるしそうしたいけれど、みんな鉄観音じゃん。味や香りなんて
「微妙に違う」くらいしか言えないよぉぉ。今はまだそれどころじゃないよぉ~。
撮影で追っかけるだけで精一杯なのよ~~~(涙)。

[女尼]

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2007年10月18日 13:47に投稿されたエントリーのページです。

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