愛子、また違う山頂へ登っている。
何しているの?
こっちへ来て?
はーい! うう、、ここ寒い。
岩?石?
愛子何持ってるの?
愛『ふいみん、この子たちは3歳樹だよ!
さて、さっきの場所とここと、何か大きく違うのに気がつかない?』
ふ「え?何がって、なんだろう?」
愛『足元をよく見て。』
ふ「わかった!さっきは土が多かったけれど、ここは小さい岩がごろごろ。」
愛『ぴんぽーん、正解!うわー、どれも好い鉱物石だー、ほら見て見て!
では、なんでここに小さい岩がたくさんあるのでしょうー?』
ふ「なんでって?うーーん、鉱物質多い好い茶畑作るために持ってきたとか!」
愛『誰がこんな重いものをこんな大量にわざわざ頂上まで持ってくるのよ。
それに鉱物石を畑に撒いたって鉱物質多い土壌にはそうそうならないよ。』
ふ「へ?じゃ、なんでー?
そういえば、ここ林木も残っていないよ?なんで?おとん伐採したの?」
愛『まさか。この辺をよく見て。』
ふ「・・・ここは、山。頂上付近。」
愛『うん、いいぞ、それから?』
ふ「うーーん?考えれば考えるほどわからない。は~~。」
愛『標高だけじゃ山は分からないよ、よく地形を見てね、周りの環境も。
ここは元から森林ではないよ、林木もほとんど生えない場所。
高山の中でも環境厳しい山頂付近にはそういう場所が多いでしょ?
森林はもう少し標高が低いところからか、山が隣接している場所に多いよ。
この鉱物石はね、もともとここにあったの、だからおとんはそのままにした!
ここはね、地中に大きな大きな鉱物石がたくさんある場所なの。』
ふ「え?・・・そうっか。
なるほどーー、畑にするときに岩をそのまま残していたからか。納得納得。
でも歩きにくくて危ないよ。なんでどけないの?」
愛『この石はね、自分で望んで昔からここに住んでいたんだよ。あはは♪
最初からこの岩や石がここにあったってことは、それで自然のバランスが
取れているんだよ。
えーい邪魔、って畑にしたい人間の都合でどけたり違う土を運んだりしたら、
ここの環境も土壌も変わっちゃうじゃーん。とおとんが昔言っていた。へへ!』
ふ「なるほど。あーそうっか、風が強くて標高も高くて寒いから、茶樹の背丈も
低いんだ、高山植物みたい。」
愛『そうそう。高山植物と一緒、何年育てても茶樹の背丈は低く小さいまま。
この地質は天然野生紅芽の立派な老樹が自生している場所と似ていて
鉄観音にとても合っているんだけど、植物には厳しい環境。
こういう厳しい環境で人がほとんど手を入れずに茶樹がどう育つか、
どんな味の鉄観音になるのか、研究して作ってみたかったんだって。
おとん、あっちこっちの山頂付近でパターン変えて毎年研究続けているよ。
ここも生長遅いから産量少ないけどさ、原味が強く出た鉄観音になったん
だよ!ふいみん飲んだよー。さあ、どの日の茶葉でしょう!うししー♪』
わ「えーー、わかんないよー。」
『早く帰ろうーー。洗頭ーー!』また小絹の大きな声。
もうちょっとだけ見させてね、お嬢様。 [女尼]