« 怪しい人影 | メイン | 空調茶ホン干中 »

そういえば炭のホン干機は?

なに?これからその空調茶をホン干する?
なんでここでホン干するの?
こっちでやったほうがいいの?
 愛子、先に何出してるの?
なに?昼間に集めたあの茶末のホン干が終わったから撤収?
そうっか。伝統茶と一緒にホン干していたんだ。

 伝統茶もOK?
 愛子、何見てるの?
それがうぇいうぇいの家から持ってきた空調茶?

 ホン干機大活躍

そういえば、この立派な電気のホン干機、3年前にはなかった、と思う。
3年前はもっと背の低い、古そうなもので、炭を使ってやっていた。

そういえば、去年の春に私が来た時はもうその姿はなくなっていた?
そうだ!今のこの立派な電気の機械に変わっていた!

あの古いホン干機はどこへ行ったんだろう?
おとんは現代ものってあまり好きじゃないはずでは?
なんで電気のものになっちゃったんだろう??

愛『ん?気づくのが遅いよー!』

ふ「いつから変えたの?」

愛『05年の秋までは両方ともあったよ。茶葉によって使い分けていた。

  04年秋まではこの電気のはなかったから、全部炭だよ。
  おとんとおかんが交代で炭でホン干していた。

  う~ん、そう考えると今私が保存している03年とか04年とか05年の
  おとんの茶葉って、ある意味貴重だよなぁ~。
  どのくらいまだ家にあったっけかな~。
  あれれー?もしかして全部みんなに分けちゃったけーーー?!
  いや、ある。05春もほとんど出なかったから、あるあるっ!
  あ、ごめん、話それた。。。へへ。

  古いホン干機では炭を使っていたでしょ。
  今ね、その好い炭がないんだ。
  炭を作る人もいなくなっているし、価格もすごい上がっているの。
  それで茶葉を全部仕上げたら、一体いくら資金が必要だと思う?  
  そのお茶代、いくらになると思う?

  まず森林が少なくなっているでしょ、原料がない。
  そこに電気やガスが安く普及してきたから、そうなると昔みたいに炭を
  必要とする人が少なくなってくるから、炭を作る人もいなくなっている。
  今の時代に好い炭をオーダーしようとすると特注になるから、当然価格
  は上がるよね。
  練炭使っていたときもあるけど、現在の練炭は質も落ちて、香気面で
  影響が出てしまう、っておとん言っていた。それは私も確認した。

  それから、炭が使われないようになって、その炭を上手に使える工人が
  今ではいなくなったの。
  炭が使えない工人に炭でやれっていったら、どうなると思う?
  茶葉は全部壊されちゃうよ。

  それと、衛生上の問題。
  工人の衛生意識が低いの、これはふいみんも気がついているでしょ?

  加工する工人の衛生意識が欠けると、茶葉に対してすごい影響が大きい
  から、おとんはそれを一番問題視している。
 
  おとんやおかんは厳しい自然の中で生きてきたから、『衛生がどうの』
  なんて言っている中国の現代都会人より、根本的に衛生という概念が
  自然にしっかり身に付いていて、生活全般に活かされているでしょ。
  全てに関してとにかくきれい好き、っていうか、人体に対する汚染に極端に
  敏感だよね。
  茶葉も、自分達が体に摂取する食品の一部、っていう観念が強いじゃん。

  でも、工人にとって茶葉は食品であるという意識がとても低いでしょ。
  これってね、仕方ないことなんだ。
  彼らにとっては加工するのが仕事で、食品として意識することを重要視
  する工人は少ないから。

  出稼ぎの彼らにとっては、茶葉を加工する目的はおとんとは違うからね。
  彼らが自分で飲む訳でもないし、彼らが買えるわけでもないでしょ。

  一般的に雇い主から彼らが強く要求されるのは、衛生云々よりも、売り物
  として、商品としてどれだけ美しく仕上げたか、という外形云々じゃん。

  仕上がってしまえば、途中がどうだったかなんて普通は見えないからさ。
  加工に携わった工人が途中で手を洗っていなくても、トイレ行ったその靴で
  包揉する布を踏んでいても、製茶室が汚くて埃が舞っていても、その床に
  直接茶葉を置いても、製茶しながらタバコ吸っても、そんなこと見えない。
  きれいで高く売れる茶葉にさえ仕上がっていれば、雇い主にも買主にも
  関係ない。それが今の中国では現実でしょ。

  だからさ、ほらほら、おとんや私が毎日毎日、ひとりひとりに事細かに
  衛生面の注意をして教えていても、最初の頃は彼らはなんでそんなこと
  注意されるのか全く意味不明の表情していたじゃん。
  小絹の方がよっぽど自然に理解していて、逆に工人に教えていたよね。
  それはね、彼らが悪いわけではなく、他の工場や農家さんでは、そんな
  こと要求されないからなの。

  そんな彼らに炭で任せたら、製茶室や茶葉はどうなると思う?

  炭のホン干機は、技術も必要だけど、それ以前に手入れが大変だよね。
  炭を扱ったその黒い手で直接茶葉を触られたりさ、細かい炭や灰の始末
  を怠ったら汚い製茶室で加工続けることになるじゃん。
  一年間のほとんどを各地の製茶工場で出稼ぎしている工人たちは、
  電気のホン干機しか使ったことないでしょ。
  炭を扱ったことのない人にとっては、炭の扱い方が分からないんだよね。

  それから、もうひとつ。
  電気のホン干機の技術が上がって、おとんが要求するレベルに達した、
  っていうももある。数年前までの機械は、ぜんぜん使えなかったってさ。

  そんないろんな背景があって、総合判断して、06年からだったかな、
  電気のだけにしたの。』


そうか。
古いホン干機のほうが稼動中に好い香りを放っていてついつい扉を
ちょこって開けて聞したくなるくらいわくわくしたのにな。
ちょっと寂しい。

でも新しいほうは途中で炭の調整とかしなくていいから操作は簡単そうだし、
炭を使えない工人でも使えるし、一度にたくさんホン干できる。

それに、茶葉にとって今はそのほうがいいのなら仕方がないか。 [女尼]

 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://chinatyparty.com/cgi-bin/MT335/mt-tb.cgi/2692

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年10月18日 21:58に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「怪しい人影」です。

次の投稿は「空調茶ホン干中」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35